竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
 けれど、そのすべてがいとおしく、エリナも、クリスも、ただただ幸せで、たまらない気持ちで。

 花びらを振りまく招待客の中を歩く。竜王と、その番が。
 番というだけの絆ではなく、恋し、愛されたその果ての二人――……。

 卵から孵した雛が、自分の最愛のひとになるのだと、昔のエリスティナは想像しただろうか。
 最愛であることは変わらずとも、こんなに愛おしく、こんなに恋焦がれる、慕情を向けられるひとになるのだと、あの時のエリスティナは。

 一陣の風が吹く。
 初夏の、やわらかな若葉の匂いを運んでくる。

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