竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

 食前の祈りを捧げ、スープを味わう。
 うん、味は特にない。しいて言えば土臭いニンジンとたまねぎのわずかな甘みがする、気がするだけだ。土にも栄養がないのだろうか。あとでニンジンの皮を撒いてみよう。

 ニンジンの葉は苦く、パンはひたすらに硬い。
 けれど生きるためだ、と無理矢理飲み込んで、エリスティナはふう、と息をついた。

 食事に体力を使うなんて本末転倒かもしれない。
 エリスティナはそれから、自分の古いワンピースを引っ張り出してきた。

 実家から持ってきた針と糸をとり、エプロンの内側に小さなポケットを縫いつける。
 布屑をたくさんつめて柔らかくしたそこに、琥珀色の卵を入れた。

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