竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
「なに、これ」
「……」
「私はこれがなにか聞いてるんだけど」
「……卵です」
「なんの」
「……竜種、の」

 その言葉を聞いた瞬間、カヤは口をがぱりと開けて笑い出した。

「あっはははは!あんた、ついに不貞を働いたのね!お相手は誰かしら?」

 きんきんと耳障りな声。わざとらしく大きな声を出すカヤは、きっとその卵が実際にエリスティナの産んだものだとは思っていないのだろう。竜種についても詳しくないに違いない。

 琥珀色の、無地の卵。それが、劣等種のものだと気づいていない。
 だからこそ、エリスティナが不貞を働いた、と大声で主張するのだ。

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