竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
「よかった……」
「なに?そんなにその卵が大事なの?」
カヤが目の端を引きつらせて言った。
あざ笑うような口調でありながら、どこか腹立たし気な声。
エリスティナが卵を守ったことがそれほど意外だったのだろうか。
しばし、硬直したような時間が流れ、しかしその静寂を破ったのはほかならぬカヤだった。
「やっぱり不貞でできた子なのね!」
カヤがエリスティナを睨みつける。
エリスティナが何も言えないでいると、カヤはぱん、とエリスティナの頬を張った。
倒れるエリスティナの髪をぐいと引っ張って無理矢理上を向かせてもう一度手を振り下ろす。
エリスティナの目に映ったカヤの、爛々と輝く目のなんと苛烈なことか。
カヤは、エリスティナに限りのない嫉妬を抱いている。
そう簡単に理解できるほど、カヤの目は血走っていた。