竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
エリスティナの話は聞かないで、リーハは憤った。
竜王は強く聡明だ。番が絡まなければ。歴代の竜王の質は番に比類するというのは噂ではなかったのだな、なんて思いながら、エリスティナはぐっと耐えた。
「不貞などしていません。この卵は捨てられていた子です」
「竜種が子捨てなどするものか!」
「それが……劣等個体でも、ですか」
「――!」
リーハが、目を見開く。
この反応からして、劣等個体のことを知らないわけではないだろう。
カヤは知らなかったのかもしれない。不思議そうな顔をしてエリスティナの言葉を繰り返した。
「劣等個体?」
「竜種の中で、ごくまれに、魔力も体力もない、非常に弱弱しいものが生まれることがある。それが劣等個体だ。……劣等個体は、家の恥と言われ、捨てられることも……ある」