竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
苦々しげに説明をするリーハに、カヤが自分が優位だと思ったのか、ばっと顔をあげてエリスティナを睨んだ。どこか嬉しそうに。
「じゃあ、エリスティナは劣等個体を産んだのね!?不貞の上に産んだのが劣等個体だなんて!子供ごと処刑するべきよ」
カヤの笑顔は残酷で、下品だった。
命を軽く見ている。それは、周囲の使用人たちも悟ったのだろう。特に、近くにいた竜種たちはまずいものを見たというように露骨に視線をそらした。
「……リーハ?」
「……劣等個体とは言え、竜種は竜種だ。衆目のある今、発覚した以上、処刑することはできない」
竜王として、竜種として、さすがに劣等個体の卵を壊す――殺すことは許されないと理解しているのだろう。リーハが悔しげに眉を顰める。
「どうしてエリスティナと同じこと……!」
「すまない、カヤ、わかっておくれ」
それでも番を切り捨てることを考えられないという。
竜種は本当に難儀な生き物だ。――だからといって、今までエリスティナたちが被って来た被害から考えれば、このリーハ竜王にやさしい目をむけることはできないが。
「……ご理解、いただけましたか」
「……フン」