竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
カヤがはっと我に返って叫ぶ。
きゃんきゃんとまだ何か言おうとするカヤを手で制して、リーハが口を開いた。
「そのかわり、お前は王族から除籍し、この国からも追放する。二度とこの国の地は踏めぬものと思え。支援もしない。死ぬなら我とカヤの関係のないところで死ね」
「ありがとうございます……!」
エリスティナは声を高く感謝を述べた。
まだ、わずかながら慈悲のある方かもしれない。一瞬だけ、そう思った。
「……ああ、いいことを考えた」
しかし、そんな甘い考えは、すぐに裏切られることとなる。リーハがカヤを見てやさしげに微笑み、エリスティナを見てにたりと笑う。
「お前たちの追放先は、森にしよう。喜べ、森なら食料には困らぬぞ」
「……森?」
「そう――不帰の森、だ」
その声に、その言葉、告げられた追放先を聞いて、わずかに喜びに染まっていたエリスティナの目は、その言葉とともに、絶望に塗りつぶされたのだった。