竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
この国には、人間種の貴族と竜種の貴族がいる。
竜種に平民はいない。竜種はみんな貴族だからだ。
平民以下は人間ばかり。なぜなら竜種は人間を守ってやっている偉い存在、だから人間は傅け、と。そんな主張がまかり通る、人間差別のひどい国、それがブルーム王国だ。
エリスティナはそんなブルーム王国の数少ない人間貴族のうちの、そこそこの身分である伯爵家に生まれた8人目の娘だ。
8人、8人だ。8人も子供がいるから、エリスティナは伯爵家という身分にも関わらず、竜種の貴族が食べているような贅沢なものを食べたことがないし、肉だって白いパンだって食べられる日が少ない。だから常にやせぎすの子供っぽい体系の、赤毛の少女だった。
ならば8人も子供をつくらなければいいじゃないか、と思うだろう。違うのだ。
この国の人間貴族は、言ってしまえば竜種貴族にとっての家畜なのだ。