竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
 けれど、予想に反して、クリスはまっすぐとエリスティナの目を見返して、エリスティナの言葉を肯定した。

「僕はこの世界で、エリーが一番好きだよ」
「……ありがとう」

 そんなこと、言われたのは初めてだ。クリスの、金色に加輝く尻尾の鱗が部屋のランプに反射して朱色に輝く。きらきらしたそれに見とれたふりをして、エリスティナは目をそらした。

 まっすぐな愛の言葉。それが養い親に向けるものだとわかっている。エリスティナしか知らないからそう言うのだと、ちゃあんとわかっている。

 たけど、じいんとしびれるような熱を帯びたまなざしが、エリスティナに「愛されている」と錯覚させてくれる。自己肯定感のために卵だったクリスを引き取ったわけではない。

 それでも、クリスが時折エリスティナに向けてくれるこの温みを帯びた視線は、家族以外の他者から愛された経験が少ないエリスティナに、たしかな自信と、幸福感を与えてくれていた。

< 60 / 315 >

この作品をシェア

pagetop