竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
エリスティナは、自分を跳ねのけてエリスティナをかばおうとするクリスを押しとどめるようにぎゅっと抱きしめた。
誰かから攻撃されているのだ、と、一拍置いてわかった。
どうして攻撃を受けているのかはわからない。でも、クリスは――クリスのことは、何があっても守らなければいけない。
今のエリスティナには、それしかなかった。
「エリー、離して、エリー!……クソッ……」
火事場の馬鹿力、なんて言葉を思い出すわ。エリスティナはふふ、と吐息だけで笑った。
普段なら絶対にクリスの力にかなうわけがないのに、こんな時にはちゃんと力が出せるのだ。
ふと、エリスティナは自身の平凡な赤毛が赤いものによって濡れるのを見た。――これは、なにかしら……?