竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

 エリナはベッドに起き上がった青年をちらりと横目で見る。
 暗がりでも思ったが、明るいところで見ればよりわかる。

 見れば見るほど輝くばかりの美丈夫だ。座っているのにわかるほど上背があり、エメラルドグリーンの目は形のよいアーモンド形。

 はちみつ色の髪はやわらかそうにふわふわしている。
 すっと通った鼻筋に、薄い唇。それらすべてがバランス良く配置された、非常に美しい顔をしている青年。
 その色彩は、いつか大切にしていたあの少年と同じで。

 だからきっと、エリナは情が湧いてしまったのだろう。
 だからきっと、家にまで上げてしまったのだ。

 そう結論付けて、エリナは青年を食卓に座らせて、台所へ戻り、シチューの鍋をかき混ぜた。

「もうすぐにできるから、そこで待っていて。おなかすいてるんでしょう?」
「え、あ、はい」
「いい子ね」

 いい子、なんて大の大人には使わない言葉だろう。
 それでもなぜかこの言葉遣いになってしまったのは、この青年がクリスに似ているからだ。
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