竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
家畜――そう、まったく家畜と同じだ。
平民より、奴隷の身分よりましだ。そんなこと思いたくない。
このブルーム王国に住む人間は、等しく竜種の持ち物でしかないのだ。
そんなエリスティナ・ハーバルにやって来た婚姻の話は、まったくもって納得のできない、地獄めいたものだった。
「番のいない竜王の、臨時の伴侶としてエリスティナ・ハーバルを娶りたい。ついては、三日以内に準備をして王都へ来ること」
そんな短い文言と、わずかな路銀。
たったそれだけを渡して立ち去って行った竜種の騎士は、最後までエリスティナのことを見もしなかった。