竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~


「魔力のコントロールは得意なんです」
「ふうん。難しいって聞くわよ?クー、がんばったのねえ」

 エリナは手を伸ばして、クーの頭をわしゃわしゃと撫でた。
 驚いたように目を瞬くクーは、しかし拒絶することはない。
 その様子に、エリナは自分でやったことにも関わらず、あれ?と思ってしまった。

 今、体が勝手に動いた、というか。
 急に撫でたくなって撫でてしまった。成人している竜種にこんなことおかしいとわかっているのに。
 けれど、クーはここちよさそうに目を細めている。

「ありがとうございます」

 そうやって、クーは嬉しそうに微笑んだ。
 だから、エリナは、まあ、いいか、なんて思って、このことをいったん横に置いておくことにしたのだった。
< 88 / 315 >

この作品をシェア

pagetop