竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

「エリス……」
「お姉ちゃん……!いやだ、いやだよお、お姉ちゃんまで、どこかに行っちゃうの?」

 母が顔をのぞかせて、まだ小さな妹が泣き叫ぶ。
 8人目の娘であるエリスティナだが、それで子を産むことをやめるわけにはいかない。

 一番上の姉は番として選ばれたが、それは同時に、この家系はまた次の世代でも番を産むかもしれない、と証明したことに他ならなかった。

 竜種は独占欲が強い。一番上の姉は、嫁いでから手紙をよこすこともできないで、ずうっと屋敷にとらわれているという。

 7番目までの他の姉たちは、同じく竜種の番を産みやすい家系の男に無理矢理に嫁がされていった。好きな相手のいた4番目の姉は、嫁ぎ先で二人の子を産んだ後、衰弱して死んだ。
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