竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
「あ……」
「…………、」
クーの目から、ぽたぽたと涙がこぼれる。それが、貧しいスープを飲んだからではない、というのは、さすがにエリナにもわかった。
クーの泣き顔は、それまでと同じで、けれど少しだけ違っていた。
「く、クー?」
「……同じ、味がする……」
ほろほろとこぼれる涙があたたかい。クーは、シチューを飲んで、まるで懐かしく愛しいものを思いだしたかのように泣いていた。
どうして、と思う。どうして、エリナのシチューなんかでいつも、クーはこんなに感情を揺らすのだろう。
そんな特別なもの、なにも作っていないのに。
――ふいに、クーが口を開いた。