竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
瞬間、ぶわり、とクーの髪が広がる。まるで威嚇する猫みたい、なんてどこか遠くで思いながら、エリナは無理矢理に笑顔を作ってつづけた。
「ごめんなさい、変なことを言ったわね。忘れてちょうだい」
「変な、なんて」
「とにかく」
エリナは、クーの言葉を遮った。
これ以上話してしまえば、クーにどんなことを言ってしまうかわからなかった。地雷を踏まれた、とでもいえばいいのだろうか。
エリナは、クーと友達でいたかった。友達なら好きになれたし、許せたのだろう。
それが、急に好意を求められたから、過去のトラウマを刺激されてしまったのだ。
「……とにかく、あなたが私にそういう関係を求めるなら、もう一緒にはいられないわ。……帰ってくれる?そして、もう、二度と私に顔を見せないで」