時間が巻き戻って、心を入れ替えた悪役令嬢は何故か愛されるようになりました!
「公爵家……だからですか」
その何とも言えない声色にイクスの方を振り返った。
すると、イクスはほんの少し顔を歪めていた。
私はイクスが奴隷になる過程を知らない。
どれだけ酷い目に遭っていたのか……
世間知らずな私はその苦痛を何も知らない。
イクスはきっと……
「ご主人様?」
声をかけられ、はっと我に返った。
いつまでもここに突っ立ってるわけにもいかないわよね。
「ごめんなさい、イクス。ちょっと考え事をしてたのよ。もう入りましょう」
どうしたのかしら……?
「イクス、入って」
「……はい」
入るよう促すと、ようやく入ってくれた。
早くお父様に説明しなければならないわね。
「ミルフィー……」
「お父様、ただいま戻りました」
そう思っていた時にちょうど現れたお父様。
運がいいわ。
私から出向くことがなくなったのだから。