青空くんと赤星くん





「「ん~!!」」



ハフハフと口から湯気が出る。
ソースとマヨネーズの組み合わせって最高だ。



「醤油味のも食べませんか?」



私が紙皿を差し出すと、青先輩は「あ~んして食べさせて」と言った。



「……自分で食べてください」
「くるみちゃんが食べさせてくれたら、きっともっとうまいよね」



私は観念して、フーフーしてから「はい、どうぞ」と、口もとへ運んであげた。
青先輩は「違う。あ~んだよ」と言って、口を開けてくれなかった。



「あ、あ~ん……」



青先輩は嬉しそうに口を開けてパクっと一口で食べた。



「うま~!」
「もう」
「よくできたくるみちゃんに、ご褒美としてチーズ味をあげよう」
「あーん!」



あ、やっちゃった、と思った時には遅かった。
あ~んと大きく開けた口の中に、たこ焼きの熱でとろけたチーズが入ってきた。



「『あ~ん』は俺の台詞だって。ほんとかわいいなぁ」



青先輩は笑ってくれたけど、食い意地をはってしまったこと、しかも一口でたいらげたことを反省した。



「こっち向いて。写真撮らせて」
「んんんん!(いやです)」



口の中いっぱいに詰め込まれた状態では弁解もできない。
んんん。



私たちはフードトラックのそばにあるごみ箱に紙箱とつまようじを捨てて、「美味しかったです。ごちそうさまでした」とおじさんに言うと、「またおいで」と手を振ってくれた。





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