青空くんと赤星くん





書店に戻って一本選びとり、はや歩きで歩いた。
外はさっきよりもずっと暗くて、もう少しでオレンジ色の層が闇に滲んで消えてしまいそうだ。



後ろからリンと音がして、私は歩道の真ん中から左端に寄った。
自転車が通りすぎるとき、右側のサイドの髪の毛が動いて、耳に何かが当たった。



今のは…………風?



いや、虫かな?
なんだったんだろう。
もしかして、今の人?



視線を上げると、何事もなかったかのように角を曲がって行った。
でも、後ろから手でパっと触られたような……。
それが一番しっくりくる。
もういないし大丈夫。
だいじょうぶ、だいじょうぶ。



私は慎重に歩いた。
不気味な自転車の存在を隠すように街灯のない道が続いている。
あの角を曲がれば駅までもう少しだ。
きっと、あの自転車の人もただ駅に向かう途中だった人で、不審者とかじゃない。
髪は、きっと風のいたずらで。



「……」



リュックのストラップを握りしめて、そっと角を曲がった。



そのとき。




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