まじないの召喚師2 ー鬼の子と五大名家ー
準備はいいか
天が我らに味方した。
そうとしか思えない。
立派な日本家屋の門前に立ち、部下を大量に引き連れ、茨木童子は思い返す。
昼間。
人を襲いに出た鬼を追った部下から、酒呑童子様の匂いをつけた人間を見つけたと報告をもらった時は、半信半疑だった。
数名の部下と捜索すると、丁度、ある屋敷から別の屋敷に移動するところを目撃したのだ。
匂いは酒呑童子様だったが、ずいぶん小さい。
おそらくあの方のお子だろう。
屋敷の場所を確認し、見張りのための部下を一人残して、俺は山に残る部下を集めに帰った。
そして今に至る。
「準備はいいか」
「おおおおぉぉぉぉぉおお!」
「俺たちの主人を取り戻しに行くぞ!」
「うおおおおぉぉぉぉぉおおお!」
部下達の士気は高い。
子供とはいえ、長年お会いしたかった酒呑童子様がそこにいるのだから。
「やれ!」
大きな身体を持つ鬼が、門に拳を振り抜いた。
大切な主君を取り戻す為に。