まじないの召喚師2 ー鬼の子と五大名家ー

自然災害め………





正門の方が騒がしくなる。

剣戟、爆発、怒声、悲鳴。

何かが起こり、混乱していることだけは伝わってきた。


状況のつかめない当主達の集まるこの部屋に、ひとりの男が駆け込んだ。



「報告。鬼どもの討ち入りです!」



「なんだと!?」



「数は!」



「百は超えています」



「これも、火宮が鬼の子など連れておるから」



「火宮では管理できぬことの証明だな」



「ここに連れてくる過程で知れたのだ。火宮の家に置いておけば知られずに済んだわ」



「この期に及んでっ……」



「まあまあ。丁度いいのでここはひとつ、勝負で決めましょう」



「勝負?」



「鬼どもを退治する。頭を取った家の勝ち」



「簡単でいいですな」



「我も賛成だ」



「ふざけるな! どちらも我が火宮の……」



「火宮、勝てばよかろう。我とて手は抜かん」



当主同士、話はついたようだ。



「いいじゃん。暇してたんだよね」



「絶対、コイツよりボクの方が強いし」



「ハル君、このオカマウザいんだけど」



「咲耶の方が強くて可愛いよ」



「力比べは好きだ!」



「………僕はちょっと………」



次期当主達も、概ね同意らしい。



「派手にいこう、タケミカヅチ!」



この勝負に、かなり乗り気な雷地が、タケミカヅチを召喚した。

召喚の演出か、室内に雷が何発か落ちる。



「キャーッ!」



「危ないだろこのバカ!」



「アハッ。先手必勝だよ……………ぉ?」



「…………」



「…………」



その時、私達と雷地の目が合った。

雷で床にいくつか穴が空いたのだ。

その穴のひとつが、私達と雷地の丁度真ん中に空いたものだから、見えてしまう。

雷地の視線を追ったその他の人たちも、私達に気付く。



「貴様ら、いつから居た!」



「よもや、貴様らが鬼を呼び込んだのか!」



火宮当主が私たちに罪を被せようとしているよ。

絶対に違うと言い切れないところが厄介。



「自然災害め………」



「お前、金光院との相性最悪だろ……」



私たちはため息と舌打ちの間をとったような息を吐き、室内に飛び入った。

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