まじないの召喚師2 ー鬼の子と五大名家ー
警戒して退がる彼らに、開き直った先輩は堂々と宣言する。
「丁度いい。俺たちも、第三勢力としてその賭け、参加させてもらおう」
「第三勢力……」
鬼の集団と、五家がそれぞれで、七番目………深く考えるのはやめよう。
ツッコむべきはそこじゃない。
「君は、文化祭で俺と対等にやりあった御仁ではないか?」
文化祭でプロレスの対戦相手に先輩を指名した、筋骨隆々な男、浄土寺常磐が気づいた。
「火宮当主の火炎球を斬った人だよね」
金光院雷地も気づいたようだ。
「ツクヨミノミコトの生まれ変わりとその従者……。お、お前達、火宮家に来い! 手厚い待遇を約束する!」
当時と似たような黒い仮面をつけているから気付いたのだろう。
口約束でしかないのは火を見るより明らか。
しつこい火宮当主の誘いは当然却下だ。
「何っ」
「ツクヨミノミコトだと!?」
「何故こんなところに……」
「何しに来た!」
火宮当主のツクヨミノミコト発言で、当主達がざわめく。
子息達も、多少驚いてはいるようだ。
先輩は刀を顕現させ、挑発するように鼻で笑う。
天に向けた指先をくいくいと己に向けた。
「鬼の子は俺様がもらう。かかってこいよ」
瞬間、当主達からの一斉攻撃をくらった。
火が、水が、草が、土が、刃物が、私達に触れるところで爆発する。
「ハッハッハッ! いくら術を斬れるといえど、この数ならば捌ききれまい!」
「一番厄介そうなのを真っ先に潰すのは、定石ですな」
「いやはや、皆と意見が合ってよかった」
「これから敵になるんだがな」
「次は皆で火宮をやろうではないか」
「待て、ここは打たれ強い浄土寺を皆でやろう!」
次の標的について話す彼ら。
しかし、煙が晴れると、無傷で立つ私達が彼らの目に留まる。
「オレだって、やれるんだ!」
先輩を守るように立つヨモギ君が両手を前に出したそこには、透明な壁が形成されている。
壁の外は焦げて、刃物が刺さり、細く煙があがっていた。
当主達の攻撃はそれに阻まれ、届かなかったのだ。
いつの間に、こんな技を覚えていたんだろう。
「よくやった」
先輩に褒められて、ヨモギ君は子どもらしく照れていた。