まじないの召喚師2 ー鬼の子と五大名家ー
「年寄りは引っ込んでなよ。ここは俺が! タケミカヅチ!」
タケミカヅチが雷を放ってくる。
「イカネさん!」
それに対抗する私は、イカネさんを召喚。
彼女の放つ雷で相殺した。
「………オモイカネ」
「うふふ、ご無沙汰しております。タケミカヅチ」
にこやかに挨拶して、一変。
イカネさんの背中に般若が見えた気がした。
「この方に手を出すというのなら、わたくしがお相手いたしましょう」
「いつの間に、ツクヨミノミコトと親しくなったんだ」
「……親しくはありませんわ」
イカネさんの美しい御尊顔が歪む。
そんなにツクヨミさんが嫌か。
「……事情はわからんが、俺はこっちの主人の願いを叶えねばならんのでな」
両手に雷を纏わせたタケミカヅチの相手はイカネさんに任せる。
「なんか知らないけど、あんたたちをやっちゃえばいいんでしょ」
桃木野柚珠が蔦を伸ばしてくる。
「急急如律令!」
私はイカネさんに渡されたお札で召喚した。
人型をとったそれは、襲いかかる蔦を瞬時に斬り刻む。
艶やかな長髪を靡かせ、肌色の多い異国の踊り子の服を纏う扇状的な容姿の美女。
攻撃を兼ねた舞が終わると、両手の鉄扇をたたんだ。
「アメノウズメ、要請により参上いたしました」
「……ボクの方が、戦ってる時もカワイイし」
花吹雪を散らす桃木野柚珠の闘争心に火をつけた。
「ウズメ、相手をしておやりなさい」
「御意に」
タケミカヅチと雷を撃ち合うイカネさんの命令に、アメノウズメは艶めかしく笑った。
「美人の下僕、アタシも欲しい!」
アメノウズメと桃木野柚珠の可愛く美しい戦いに、興味を示したのは咲耶だ。
「召喚術は火を出したりするより難しい。咲耶にできるかどうか……」
「できるもん。だってアタシ、コノハナサクヤヒメの生まれ変わりだからねっ。急急如律令!」
陽橘の心配をはねつけ、咲耶は見様見真似で召喚する。
彼女の正面に光の塊が膨れ上がり、人型をとる。