まじないの召喚師2 ー鬼の子と五大名家ー
『初めからそう言えばいいのにねぇ……』
ツクヨミノミコトも不穏だ。
頼むから、大惨事は勘弁してくださいよ……。
『月海、きみも大概なんだからね』
『何の話ですか』
『何やってもケチつけてくるところ!』
あの当主達と同じ人種ですと?
『一緒じゃない………と、思いたいんだけど。………そんなに似てるかな……?』
『とっても!』
すぱっと言い切られて、悲しくなる。
あれはダメ、これもダメ、それもダメって、こちらの希望ばかり言っている自覚はある。
でも、この人たちのやる事は看過できるものでもないし……。
でも、妥協点を探る会話は必要。
これからも力になってもらいたいから。
『ごめんね。あんな奴らみたいになりたくないから、気をつけます……』
『わかればよろしい』
それから、イカネさんファーストな件についての不満を言われたが、先輩と当主達の方で動きがあったので無視する。
「あれ? 何が起きたの………?」
「これ、どういう状況……?」
全身びしょ濡れの陽橘と咲耶が近づいて来た。
彼らの足元は、池まで足跡が続いている。
池に落ちてたんだね。
で、そこの池は少し前に凍っていたから……。
「死んでたの? なさけない。それでも火宮家次期当主?」
雷地が煽る。
先輩が少し前に言っていた、陽橘がここには居ない、って、そういう意味かぁ……。
「仕方ないだろ! あれは回避不可能だった!」
「誰かが池に落としたせいなんだから!」
「ふふん。ボクは死んでないから、ボクの方が可愛くて強いって事だよねっ」
「弱い奴ほどよく吠える」
言い訳をする彼らに、柚珠は威張り、常磐は呆れていた。
「そうなると、次代の火宮が心配だなぁー」
「…………この人が火宮当主になったらいいと思う……」
雷地が大袈裟にため息をつくと、響が先輩を指差した。
それに他の次期当主達も名案というように大きく頷く。
「いいんじゃない?」
「きみ、火宮の養子になるんだっけ?」
「お前ほどの実力の持ち主なら歓迎だ」
先輩が認められているようで、私も嬉しい。
ちゃんとしたひとが見ればわかるんだよ、先輩の実力を。