イケメンは好きだけど近づかないでください!

Side 秋月翔




チャイムが鳴り昼の時間を知らせる



「翔、どこ行くんだ?」

「んーちょっと暇つぶし?」

「ハァ…あんまり後輩に迷惑はかけるなよ」

「わかって…だ、だれも!
アイツのとこに行くなんて言ってねぇだろ!?」

「あーあの子ね、わかったよ。
いってらしゃーい」



あいつは俺の事をよく見てる

いや、と言うよりは

もしかしたら俺がわかりやすいのかもしれない



「(でもわかりやすいって言ったら…)」



思わずアイツの反応を思い出して笑みが零れる



1年の階にくれば

物珍しいのかザワザワとしている

ここまできて思い出す

あれ、アイツ何組だよ

やべーなんも考えずにここまで来ちまった

仕方がないので

コソコソと話しているやつに聞く



「小鳥遊 優って何組か知ってる?」

「あ!た、小鳥遊さんなら2組です!だよね?」

「そう!わ、私同じクラスなので案内します!」

「ありがとう!案内は大丈夫だよ」



ニコッと微笑めば悲鳴があがる

そうそう普通はこういう反応なんだよ

教室に入り呼べば

現実逃避をして澪ちゃんに早く行けと促されていた

やっと目の前に来たコイツは

なんできた?と目でも訴えてくる

でもこの真顔の感じは…



「フッ…いまもしかしてあれ?
感情抑えて真顔ってやつ?」



どうやら図星らしいが

用件を早くして!?とすごい勢い

マジで用事なんてなかったので

正直に暇つぶしと伝える

チラチラと周りの様子を気にしていたので

仕方なく、そう仕方なく連行する

ズルズルと引きずるようにすれば



『私のお昼ご飯ー!!!』



叫び声が廊下に響き渡る

犯罪者に連れられて行くわけじゃないのに

そんなに叫ぶかよ。と思った



屋上に辿り着き早々に



『もうなんなんですか…
注目の的になりたくないんですけど…』



あ、これは本気で思ってるんだろうな



「お前で暇つぶししようと思ったのに
連絡先わかんねぇから
仕方なく出迎えてやったんだよー」



本当にただ暇だったから来ただけだったけど

この際だから適当に理由をつける

これでついでに連絡先を聞ければ

後々楽だろう

………なんで俺は連絡先が欲しいのだろう

別に適当に見つけて

適当に話せればいいはずなのに

なんでだ



最近自問自答が増えた気がする

まぁ原因はコイツなんだが

目で追っていることも自覚済み

一緒にいてラクなのも認める

それ以外は…?

答えに辿り着けそうなところで

喋り始める



『…先輩って、
最初の印象からだいぶ変わりました』

「更に俺の良さがわかちゃったかな?」

『いえ、マイナスにもなりませんが
プラスにもなりません』

「ハァ!?プラスだろ!どう考えても!」



その言葉に思わず素で反応してしまった

元からコイツに対してキャラを作った記憶は

本当に序盤だけだったが…



なにか言いかけ言い淀んだので

言え。と圧をかける

ゆっくりと後退して



『顔がいいクソガキ感が否めません!!!
失礼します!!!』



大正解過ぎて笑う

でもそんなことを前にも言われた気がする

………あぁ、琉生だな

優ちゃんはつくづく面白い

イケメン大好き!と言って

俺を拝むほど(顔が)好きなくせに

生意気なことを言ってのける

まぁきっと勢いで口から出てんだろうけど

言ってくれるじゃん



「…ハッ…待てコラッ!!!」



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