イケメンは好きだけど近づかないでください!
5.イケメンと夏休み
「"今何してんのー?"」
『"宿題を早く終わらせようとペンを持ってから
2時間たつところです"』
「"それつまりなんもしてねーじゃんw"」
『"先輩大正解です"』
カタン
スマホをテーブルに置いて項垂れる
…まじで宿題めんどくさい!!!
ただでさえ脳みそ足りないんだから
一人でやるってことが
そもそも無謀だったんだよ!!
『夏休みなのにほぼ予定が澪しかない!!
なんでなの!?』
「A.それは友達がいないから」
『…こんな予定じゃなかったんだよ、
友達2人くらいできるはずだった』
「思ったより願望人数少なくて可哀相」
ちょっとスマホ借りるよーと言われ
あー好きにして―とお菓子を頬張る
『ん?』
澪が私のスマホの画面を見せてくる
これは、秋月先輩とのトーク画面
"よかったら遊んでくれませんか?"
『おいいいいいいいいいい!!
なにやってくれちゃってんの!?
しかもなんか私の下僕感…』
「優なら遊びませんか?より
遊んでくださいって下手に出そうじゃん」
『小鳥遊優検定2級を差し上げます』
「いらないです」
『そこはノッてくれよ』
そもそも先輩は部活も引退しちゃって
本格的に受験勉強で忙しいはずだ
ピコンッ
自分でも笑ってしまうほどに
いまスマホを手に取る速さは異常だった
澪は目の前で腹抱えて笑っている
"いいよー!来週の○日は?"
画面を開いたままベッドにスマホを投げて
両手で顔を覆いハァ~と息を吐く
天にも昇る心地とはまさに今を指す
『あーやばい、会わな過ぎて拗らせ始めてる。やばい』
「おーっと、じゃああと少しじゃん!がんば!」
ジトーッと澪を見つめる
『…応援してくれて、る…?のかな…?』
「もちろん!友達じゃん!」
優しく微笑む澪
『ほんとは?』
「結果はどうでもいいけどもっと仲良くなってもらって
私に柊先輩を紹介してください」
『さいてー』