イケメンは好きだけど近づかないでください!
「キャー!」
…なんだ、私は芸能人でもいる学校にでも
入学してしまったのだろうか
そう錯覚してしまうほど
女子たちの悲鳴が聞こえた
悲鳴…と言っても歓声だけど
人間、ざわつくような声が聞こえれば
自然と目はそちらに向いてしまうもの
『っ!!』
息をのんだ
衝撃的過ぎて声にならなかった
見つめた先には
本当に芸能人でも来てたのかと思うほどの
顔面国宝様がいらっしゃった
否、中学3年生の頃に一度だけ見かけた
あの"大学生くらいの"男子だった
気づけば私の足は勝手に動き野次馬に混ざる
顔面は言わずもがな
相変わらずキラキラした金髪
シャープな顎
スラっとしたスタイルの高身長
1年前に見た時よりも磨きが掛かっている
拝むだけならいいかな、と
目に焼き付けるように只管凝視した
他の先輩達は
「翔くん、おはよー!」
「翔くん、よかったらこれ!」
「ちょっと私が先なんだけど」
「は?先とかないでしょ、邪魔」
怖い。先輩達強い。
入学したばっかのペーペーな私には
”翔くん”と呼ばれた先輩?を
穴が開くほど見るので精いっぱいだった
満足するまで見た私は
そういえばクラス見なきゃだった
と、本来の目的を思い出して
名残惜しいがその場を去る
今の私の形成になったであろう
あのイケメンを見られただけで私は満足だ
そりゃイケメンは大好物だし
あんな彼氏いたら幸せだけれども
高望みはしない
だから私の美意識向上のために
ひっそりと陰から眺めさせてもらおう
『イケメンくん…
モブAな私には眺めるだけで精一杯だ』