イケメンは好きだけど近づかないでください!
「ん~これでもいいな」
『あの』
「やっぱ、こっちか…?大人っぽく…」
『あの澪さん』
「いや、やっぱりスカートだな」
『ちょーい!一回話聞いてー!』
一旦止まってくれたものの
私のクローゼットを漁り服選びは再開される
こうなったのは数日前
澪が勝手に秋月先輩に
遊んでくれませんか?と送ったため
遊ぶ日付が2日後に迫っていた
ので、ただいま着せ替え人形の如く
色んな服を着まくっていた
『もう遊ぶのお腹痛くなってきた』
「気持ちは同意する。私もだもん」
遡る事、数日前
流石に2人きりじゃないよね…?と
先輩に確認しようとしたが
先に向こうから
「"琉生も連れてくからそっちも誰か連れてきていいよ"」
私は琉生?だれ?と独り言のつもりで
声を発したつもりだったが
澪は聞き取れたらしく
「嘘!?え!?」
私の手からスマホを強奪していき
必死に画面の文を何度も読んでいる
『澪、知ってる人?』
「この前あんたに話したじゃん!私は柊先輩派って!」
『あ~私がタイプじゃないって言った人か!』
名前は柊琉生先輩
秋月先輩と同じく元バスケ部で
負けず劣らずの美丈夫さん
いつも金髪に染めてる秋月先輩とは反対で
一回も染めていない綺麗な黒髪
澪曰く、ちょっと癖ッ毛なとこがまた可愛いらしい
2人は一番の仲良し、所謂親友らしい
タイプではなかったけどイケメンに変わりはない
『これ他の女の先輩に見つかったら
完全に目に敵にされない…?』
「…なるようになるよ!!
誘ってもらったのは私たちなんだから!!」
『強気な澪ちゃんめっちゃ心強い』
ドヤ顔する澪に
おぉーと拍手していれば
通知音が再び鳴る
「"めんどくせー女連れてきたら、わかるよね~?"」
ニコニコした絵文字がついていたが
それも相まってこれは圧力なのだ
この連絡を澪に見せたら
「え…?薄々感じてはいたけど…何か腹立つ」
やっぱイケメンは性格悪いんだーと
少し、イライラしているご様子だった
『"澪つれていきます"』
一応、澪のことなら先輩も知ってるし…
なにより私…澪しか友達いないし!!?
「"澪ちゃんね!おっけー!"」
やり取りを覗き込んで見ていた澪
「はい私も認知!!勝ち!!」
『なにと戦ってたんだよ…』
そんなことがあり
いまは緊張の腹痛、胃もたれを感じつつ
あーでもないこーでもないと
3時間にわたり勉強そっちのけで服選びをした