イケメンは好きだけど近づかないでください!
「優!やきそばとたこやき半分こしない?」
『あ、いいね!あとかき氷も半分こしてほしい』
じゃあ分担して買いに行こうかと話していれば
「じゃあ俺らかき氷とフルーツ飴な」
『ちょっ』
行くぞ。と腕を引かれる
「琉生ーあと俺じゃがバターねー!」
ご飯物を柊先輩と澪に任せ
『澪!買ったら連絡するねー!』
「う、うんー!わかった!」
遠目に見てもわかるくらい澪は緊張した顔をしていた
そうだよね、私もいま戸惑ってるよ
この人は本当に人の心を惑わせてくる
『先輩!距離感どうしたんですか!?』
「あ?それはお前から俺に対しての話でしょ?」
『勘違いしちゃうからって言ったじゃないですか!
イケメン大好きな乙女心わかってください!』
「そういえばそんな事も言ってたなー」
『私で揶揄うのやめてくださいよー』
なんで私なんだ…と呟けば
急に足を止める先輩
『???』
「え、まって、俺ってお前のこと好きなのかな?」
突然何を言い出すんだこの人
『それこそ勘違いですよ』
うーん。と考え込む先輩
え、まじ?そんな考えること?
「優ちゃんは俺の事好きなの?」
『え!?いや、かっこいいなーとは思うし
そりゃドキドキはしますけど…』
好きか?と聞かれるとなんとも言えない
かっこいいから好きなのか
好きだからかっこいいのか
「俺もわかんねー。けど…」
またしても考え込む先輩
『とりあえず買いに行きましょ!
あ、腕は掴まないでくだいさいね?
ドキドキはしちゃうんで』
「…じゃあどっか服でも掴んどけ」
『…はい、失礼します』
キュッ
なるべく先輩の服が伸びないように
裾をちょっとだけ掴む
チラッっと顔をあげれば表情は見えなかったけれど
出店のライトの具合なのか、
それともこの夏の暑さのせいなのか
耳が赤くなっている気がした