イケメンは好きだけど近づかないでください!



『お待たせー!すみません、柊先輩も
お待たせしちゃって…』

「いいよ、気にしないで」



大方、翔がわがままばっか言ってたんだろうから


…流石です。柊先輩、大正解です。



「琉生見てみて!これも買ってきた!」

「翔…子供じゃないんだから…
なんでそんなの買ってんの」



秋月先輩の手にはたくさんのクジの景品

そして私の手にはかき氷と飴と綿あめ

かき氷以外は秋月先輩の物



「ごめんね、俺が持つよ」

『いえ!大丈夫ですよ!』

「でも両手塞がってたらかき氷、
食べられないでしょ?
あそこに座って先に澪ちゃんと食べてて」



今日何回この人の事

大人~って関心したかわかんない


澪と近くのベンチに座り食べる



『んま!』

「半分こにして正解だったね」



先輩たちを見れば柊先輩と秋月先輩が

なにやら言い合いをしていた

大方、買い過ぎだと怒られているのだろう



『ねぇ、柊先輩ってすごい大人だよね』



そう伝えればすごい勢いでこちらを見てくる澪



「ほんっっっっっとに!!!」



話を聞けば

ずーっと完璧なエスコートだったらしい



「これで惚れない方がおかしいのよ」

『それは思う。きゅんっってするもん』

「惚れたら許さない。あんたには秋月先輩いるでしょ」

『いるでしょって…好きなのかまだわかんないし』



よく考えてみれば私って先輩の事

そんなに知らないんだよね

顔がいいってことと頭がいいってこと

運動もできて優しいけど

実は子供っぽくて

すぐ人の事を馬鹿にしてくるし…

でもいたずら成功した時の笑った顔がかわいい



『あれ!?』



なんか、あれ、思ったより知ってるのかな

学校では誰にでも優しい性格って

確か他の子達が言ってたような…



「先輩って優の前だとイメージ違うから
向こうもそれなりに気になってると思うんだけど」

『は!?』



私の考えている事を知ってか知らずか

澪が的確なことを言ってくる



「そもそも、なんだっけ?距離感?とか言ってるんなら
こんなデート紛いなこと普通する?」



もし好きなら、もっとプラスに考えていいと思うよ。

と言いかき氷を一口食べる


自分の感情がわからなくなってきた

嫌い?と聞かれたら好きと答えられるのに

恋愛的に好きなのか?と聞かれれば

…わかんない。



「ん、お前も食う?」



悶々としていれば

いきなり隣に腰かけ綿あめを差し出してくる先輩



『い、ただきます…』



綿あめを千切りながら顔を見れば

好きなだけ食えー!と笑顔を向けてくる

さっきの先輩を思い出し思わず顔に熱くなった



「なんか赤くね?あ、俺に見られて照れた?」



ニヤニヤとこちらを見てくる



『だ、だから!先輩の顔がイケメン過ぎるから!
これはあたりまえの現象です!!!』

「はいはい、今なら他の生徒もいないんだから
好きなだけ見ればいいよー」

『もうお腹いっぱいなのでいいです』

「ハハハッ」



この時の私は気づかないフリをしていただけだった

恋を自覚するまで、あと少し…


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