イケメンは好きだけど近づかないでください!



飯も食べ終わって

そろそろ帰ると立ち上がる

そのタイミングで俺も立ち上がった

言うならいまなのか?

誰にも邪魔されないし…

いや、でも



「あー…」



告白されたことなら幾度となくある

数えきれないほど

だけど自分から言ったことなんてない

黙り込めば

不思議そうにこちらを見てくる

うん、もうだめだ、可愛い

それすら可愛い



『?』

「あのさ」

『はい?』

「あーーえっと…」

『先輩?』



なんと言えばいいかわからず



「あ゛ーーーー!!!」



俺…情けねぇ…



「俺のこと、名前で呼んでくんね?」


『…へ?』


「前から思ってたんだよ。なんか、よくわかんねぇけど
おまえに秋月先輩って呼ばれんのむず痒い」



これも確かに思っていたことではあるけど

違う、こんなこと言うつもりじゃなかった

ほら、困惑した顔してんじゃん

馬鹿かよ、俺



『翔先輩』



名前を呼ばれただけで顔が熱くなるのがわかった



「て、照れてねぇから!!」

『あ、照れたんですね、翔せんぱーい』



こいつ、ニコニコしやがって…クソ…



『翔せんぱーい、真っ赤になちゃって可愛いですねー
そんなに私に呼んでもらいたかったんですかー?』



お前だって逆の立場だったら

真っ赤にするくせに

調子乗ってやがる…

俺の悪戯心が出て反撃する



「…そうだけど?
俺が優にそう呼んでもらいたかったの、悪い?」



初めて呼び捨てで呼ぶ

瞬間にボンッと真っ赤になる



「照れてんの?かーわいっ」



本当に可愛いからそう言えば



『し、失礼します!お邪魔しました!』



バッと立ち上がり駆け足で部屋を出ていく



「あ、おい!」



俺の制止の言葉を無視して

前にもあったなこういうの…



「俺って惚れるとダメなんだな…」



好きすぎて死にそうだ


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