イケメンは好きだけど近づかないでください!



季節は冬、12月

先輩の合否がそろそろ出る頃

そしてクリスマスも近づく



『高校生ってもっと恋愛ばっかのイメージだったのに
彼氏もできずクリぼっちだー悲しいー

先輩誘ってみる!?

いや、本来の私を取り戻せ
あの人は高嶺の花だぞ。

凡人が誘っていいわけない』



身の程を知れ!!と叫べば



「一人でそんなに騒げるのも天才だよ」

『ありがとう』

「褒めてないわ」



澪に冷ややかな目をされる



「別に誘えばいいんじゃない?
寧ろこんなに仲良くできてるのを
利用しない手はないでしょ」



私は利用させてもらったよ。と

スマホの画面を見せられた



『は!?うそ!!いつのまに!?』



見せられたのはイケメンの写真

いつしか見せられた人物だった



「しれっと…すまんな」



写っていたのは澪と隣で微笑んでる柊先輩だった

そんな感じは確かにあったけど…



『進展すんの早くない…?なんで…?』

「私からすればもたついてるよね」

『いやだって…私は、その、好きだけどさ…』



いざ澪に言葉を発するのは恥ずかしい



「意見はっきり言うくせにこういう時はヘタレとはね」

『乙女だもん!仕方ないじゃん!
それに相手は崇拝していた人だよ!?』



澪も私と同類の人間だったはずなのに

しれっと爆イケさんと付き合ってるし…

詳しく根掘り葉掘り聞いてやろうとすれば

スマホに通知が1件くる


"受かった"の文字



『澪!!』



今度は私がスマホの画面を見せつける



「お、めでたいな」



なにかお祝いでもするの?と聞かれる



『それだ!!お祝いを盾にクリぼっち回避する!!』

「普通に誘えばいいのに」



"お祝いしたいです!空いてる日ありますか?"



緊張して送信するのを躊躇ったが

思い切ってタップすれば

シュポッと同じタイミングでメッセージが来た



"24日って予定ある?"



『!!!!!!!』



叫びたいのを堪えて勝利のポーズ

深呼吸をして震える手で文字を打つ



"空いてます!暇です!その日にお祝いします!"



ドキドキしてるの静まれ

え、まってまってまってこれって、なに

クリスマスに会うってなに

嬉しいけど…いやいやいや!勘違いかもだし!



『落ち着けー!私ー!』



ジタバタしてる私には澪の声が聞こえてなかった



「両片思いってやっかいだなー」


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