イケメンは好きだけど近づかないでください!
「欲しいのあったら取ってやるよ」
『得意なんですか?』
「普通?まぁたぶん取れる」
『なんか先輩ならなんでもできそうですけど』
来たのはレジャー施設
流石に今日はカップルが多い
『あんまり興味ないんですよね、ぬいぐるみとか』
「かわいくね~」
『女の子みんながみんな
ぬいぐるみ好きだと思わないでください!』
でも、女の子は好きな人から貰えるなら
実はなんでも嬉しいんだよ。とは言えなかった
言おうと思ったけど
恥ずかしくなって喉元まで出かかって飲み込んだ
「じゃあ…これいらない?」
『え?』
顔の前に出されたのは
のほほんとした顔の猫のぬいぐるみ
『いつのまに取ったんですか!?』
「いや、買ったやつ」
『???』
「これ似てない?」
『誰に…?』
「優ちゃん」
私ってこんな呑気な顔してるのか
『なんか情けない顔ですね』
「うん、そっくり」
『そっくりですか!?』
なんか、でも似てると思って買ってくれたの嬉しい
「やっぱいらないかー
優ちゃんはぬいぐるみ好きじゃねーんだもんなー」
『い、いります!欲しいです!』
「えーどうしよっかなー」
『ください!』
私も身長は高い方なのに
先輩はもっと高いから全然背伸びしても届かない
馬鹿にしたように笑う先輩
くっ…その顔もかっこいい!!!
「ハハッ 仕方ねぇからやるよ」
『…ありがとうございます。大事にしますね』
思わぬプレゼントだ
一生大事にする!!!
『あ、あのおっきい犬』
目に止まったのは目がクリッとしてる
もふもふした犬のぬいぐるみ
「あれ欲しいの?」
『…ちょっと、欲しいです』
「おっけ、任せろ」
数分格闘ののち…
「取れた!」
取り出し口からしゃがんで取り
ん。と渡される
『かわいい…』
「あれれ?ぬいぐるみは興味ないんじゃ…」
『あんまりって言ったんです!
それにこの犬はせんっ』
「せん?」
『せん…ぱいに似てるから…』
言ってしまった
恥ずかしくて学校だったら今すぐ逃走しているだろう
しゃがんだままの先輩は
頭を抱えて急に盛大にため息をつく
『ご、ごめんなさい、キモくて』
「おまえさー…いや、なんでもねぇ
他にも何か取るか?」
『いえ!もう満足です!』
「ん。んじゃちょっと寒ぃけど歩こうぜ」
『はい!』