イケメンは好きだけど近づかないでください!



歩きながらポツリポツリと

先輩が話始める



「春から一人暮らしはじめんだ」

『引っ越すんですか!?』

「って言っても全然この辺だよ?」

『あぁ…』

「県外行くと思った?」

『というか今それ言われて
県外に行っちゃう可能性もあったんだなと…』



今は同じ学校だからいいけど

卒業したらまた遠い存在になっちゃうな


なんかしんみりしちゃった



『あ!これ!大したものじゃないんですけど
良かったら使ってください!』



鞄からゴソゴソとプレゼントを出す

良かったリボンとかグチャグチャになってない



「まじ?開けてい?」

『どうぞ!』



好きなものとかわからなかったし

本人に聞いたらバレて揶揄ってきそうだし



「キーケース?え、嬉しい!
ちょうど買おうと思ってたんだよ」

『ほんとですか!?良かった…』

「ちょー大事にする!」



笑った顔

キラキラしてて、目がチカチカする



『あの、先輩、それでお話したいことがあります』



タイミングが今で良かったかなんてわからない

でも、いま、言いたくなったんだ



『先輩が、好きです…』



緊張とドキドキで手も声も震える



「え…」



はじめて見たときはただただかっこよくて

イケメンを知ってイケメン好きになって

先輩は拝み対象にさせてもらって

でも気づいたら話すようになってて

先輩に構ってもらえるのが嬉しくて

大人っぽく見えたけど

実は子供っぽくて

意地悪もたくさんされたけど

根はすっごく優しくて

笑った顔は幼くて可愛くて

気づいたら大好きになっていた



でも、言うのが私はきっと遅すぎたんだ


思い出すのは昨日の出来事



『伝えたかっただけなんです!』

「っ」

『ここでキッパリ諦めるので!』

「諦めんの?」

『はい…!今までたくさん構ってくれて
ありがとうございました!

今日も…お時間割いていただいて…』

「別に、誘ったのは俺だし…」

『先輩と過ごす日々も今日も本当に楽しくて…!

良い思い出になりました!』



辛くないと言えば嘘になる

だけど、言ってしまえば呆気なかった

少しだけ気持ちがスッキリする


< 74 / 90 >

この作品をシェア

pagetop