イケメンは好きだけど近づかないでください!



近くのベンチに腰掛け

私が落ち着くまで手を握ってくれていた



『す、すみません、泣き過ぎました…』

「いいよ。だって嬉し泣きでしょ?かわいい」

『はぁ!?か、かわいいって、どこが…!』

「今日だって可愛いって言ったじゃん」

『先輩の口説き文句みたいなあれかと…』

「おまえは俺をなんだと思ってんの?」

『超モテるイケメン…?』

「いやまぁ合ってんだけどさ」



自分の中で整理をする

つまり、あの女の先輩は告白はして

でも、その、ダメで…

思い出作りでデートして

腕を組んだところを私がたまたま目撃して…



『…色々私が勘違いしてたんですね』

「そうだね。困っちゃうよ
俺が好きなのは優なんだけど」



つんっと鼻をつつかれる

もうそれだけで私は顔が真っ赤だろう



『や、やめてください!!!』

「真っ赤だ!かわいーね」

『いやっ、だからっ』

「んー?」



ニコニコと鼻やらほっぺやら

つんつんとつつかれる

ううう、好きだ…



『あ、あの最初言っておきたいんですけど…!』

「なーにー?」

『私、先輩の事、たぶん顔から好きになったんですよ?
見た目だけかよって嫌じゃないんですか?』

「まぁ俺ってかっこいいしなー仕方なくね?」

『う、うざい…ですけど、そういうとこも好きです…』

「おまっ、急にそういうこと言うなよ!」

『いい、言いますよ!だって、好きなんですもん!!』



ため息をつく先輩

最近よくため息つくな

どうしたんだ



「おまえさ、可愛いこと言ってんの気づいてる?」

『?いえ、気づいてません』

「そっか、まぁいいんだけどさ
おまえの可愛さ知ってんのは俺だけで」

『先輩こそやめてくれません!?
自分で告白しといてなんですけど
先輩と釣り合えるほど可愛いと思ってないんで!!』

「んー、まぁ確かに?
絶世の美女。って感じではないな」

『殴っていいですか?』

「ごめんって!
でも、俺は優がいいの」



優しく微笑む先輩

きゅんとしてしまった



『わ、たしも、どんなにイケメンでも
翔先輩が…いいです…』

「………あああああああああ」



立ち上がり叫ぶ



『!?』

「…ちょっとごめん」



座り直したと思えば

グイッと引っ張られ強く抱きしめられる


ドキドキと心臓が脈打つ

これ、先輩にも聞こえてるのかな



「ハァ…すっげー好き」

『私も、です』



抱きしめる力が弱まり

でも、今までよりも距離が近い



「ってか今のうちに聞きてぇんだけどさ」

『はい?』

「水瀬くんってかっこいいって思う?」



水瀬?え、突然のクラスメイトの名前で戸惑う



『水瀬ですか?んー…』

「…」

『…顔はイケメンで

「ハァ!?」

まだ喋ってたのに…』

「かっこいいって思ってんのか!?」

『いやまぁイケメンには違いないですけど…

先輩に勝てるほどのイケメンは、

私の中では今んとこいないです』

「好き!!!!!!!!!」

『先輩声がでかいです…!!!』


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