イケメンは好きだけど近づかないでください!
友達に屋上へ行こう!と誘ったが
そんな戯言に構ってられない。と
同行することを拒否されてしまった
私の友達冷たくない…?
そーっと屋上の扉を開けば
誰もおらず、やっぱり想像だけだったか
でもせっかくだからと
誰もいない屋上で黄昏てみる
風が吹き思いにふける
『あー青春してー』
誰もいないはずの屋上
時刻は午後の授業が始まってる時間帯
そう、入学してまだ数か月
私はサボりを決め込んでいた
だから声が聞こえるのはおかしいのだ
「黄昏中ー?」
『!?』
「あ」
バッと振り向けば空であろう
パックジュースのストローを噛んでいる
秋月先輩がいた
「君、この前さ
別校舎ですれ違った子だよね!」
『たぶんそうです。失礼します』
「はーい、ちょっとストップねー」
いつかのように
足早にその場を立ち去ろうとすれば
またしても腕を掴んできた
お願いします、お願いします
どうかそのお手を放して頂きたい
『な、なんでしょう…か…?』
ズイッと顔が至近距離に近づく
顔は平然を装っているが
内心穏やかではない
「最近こっち見なくなったよね、なんで?」
この人は何を言っているんだろうか
まさか、これが認知!?
『いや、あの、私もみんなと同じで…』
「?」
『お、拝ませて頂いてますが…?』
我ながら
日本語が多少おかしいことには気づいている
だけど、今はそれどころではないんですよ
「ふーん」
………
え!?聞いといてすごい興味なさげ!?
「俺の顔っていい?」
『??はい、そりゃもちろん』
あまりにもあたりまえの事を聞かれてしまった
そっか、確かにイケメンって
自分の顔の良さに気づいてない人が大半だよね
「だよねー!俺もそう思う」
前言撤回
この人、自分の顔の良さを
きちんと理解してるタイプだった
『えっと…じゃあ私はこの辺で…』
ペコッとお辞儀をして去ろうとすれば
またしても腕を引かれる
頼むから触れないで欲しい
こちとらさっきから至近距離で
同じ空気吸ってるだけでしんどいのに
プラスして腕触られてて
追い打ちをかけるようにしんどい
「名前、教えてよ!
俺は…言わなくても知ってるか」
『…小鳥遊 優です。秋月先輩』
「おっけ、優ちゃんね」
今度こそ去る!と走れば
「またね~!」
………
かっこいい!!!!!
いや、かわいい!!!!!
しゃべっちゃったよ!!!!!
そろそろ天に召される