イケメンは好きだけど近づかないでください!
9.イケメンは恋人に
3月
今日は卒業式
入学したての頃を思い出す
一人の人を中心に人だかりができてる
「秋月先輩!卒業しないでください!」
「翔先輩、いつでも遊びにきてくださいね!」
「翔くーん!私と写真撮ってー!」
うん、すごい、モテモテだ
この学校はブレザーなのでボタンは2つしかない
高校でもその制度があるかはわからないけど
きっとボタンは全滅だろう
『クッ…ボタン予約しとけばよかった…!!』
「いや、生身あればよくね」
『いやまあそうだけどさ!?澪は?
柊先輩にボタン貰うの?』
「昔の私なら取りに行ってたけど
いまは別に本人いればいいかなって」
おお…これが彼女という立ち位置の貫禄か…!
『澪に習って私もドンと構えるわ』
「あ、優ー!おまえこういうの欲しいだろ!」
死守してやったー!とニコニコ笑いながら
こちらに駆け寄ってくるせん…翔くん
『欲しい!!!』
「ドンと構えるはどうした」
『あんなニコニコしながら死守したとか言われたら
秒速で前言撤回するに決まってんだろ』
「確かに可愛い」
「ん?何の話?」
後ろから抱きしめられ
私の頭に顎を乗せる
『翔くんが可愛いって話です』
「カッコイイって言われたいんですけどー」
『カッコイイっていうのがベースにあるんです』
「じゃ、いっか!」
『はい!』
身体の前に垂れた先輩の腕を掴み
顔を見るように見上げて話す
「せんぱ~い、私いるんで!
イチャイチャしないでください!」
見せつけてくんじゃねーよ???と
澪の目線が怖い
そこにタイミングよく柊先輩が来る
「澪、翔はガキだから
見せつけたくてしょうがないんだよ」
許してやって?とポンッと頭を撫でる
「琉生…うん、そうだね」
『えぇー…そっちも見せつけてくるじゃん…?
しかも翔くんはガキなとこが可愛いの!』
「優…それフォローになってねぇんだけど…?」
先輩達は学校では有名人だったので
あっという間に私たちの関係は周知の事実となった
お陰で私たちはこの3ヶ月カッパが手放せなかったよ…
『あ、柊先輩ご卒業おめでとうございます!』
「ありがと優ちゃん」
「俺には言ってくんねーの?」
『翔くんもおめでとうございます!』
先輩達はクラスメイト達と打ち上げがあるから
そっち参加していいか、と許可を取りに
私たちのとこに来たらしい
今までは想像できなかったけど
2人とも彼女は大事にしてくれるタイプだったんだなと
澪と2人で幸せを噛みしめて
私たちは私たちで遊びに行った