人肉病
☆☆☆

1階の校長室には誰の姿もなく、ソファもあって横になることができることがわかったので、私達はひとまずそこに落ち着くことになった。
鍵もちゃんと内側からかけることができる。


「さすがに疲れたなあ」


ソファに横になって大きな溜息を吐き出した圭太は、ポケットに入れていたおにぎりを取り出した。
壁掛け時計を確認するといつの間にか夕方を過ぎている。
色々とありすぎて時間の感覚はすでに失われていた。

それでも学校が封鎖されてからまだ1日も経過していないのだという事実に背筋が寒くなる。
これから先どんどん生徒の数は減っていくだろう。
やがてこの学校からは誰もいなくなるかもしれない。

そしてこの街にはそんな建物が沢山あるということだ。
国はこの街ごと消滅させてしまおうと考えているのかもしれない。
圭太が袋から取り出したおにぎりを頬張ったとき、その香りが異臭に感じられることに気がついて思わず身を離した。


「どうした?」

「な、なんでもない。ちょっと、トイレ」

早口に言って校長室から逃げ出し、近くのトイレに駆け込んだ。
< 129 / 245 >

この作品をシェア

pagetop