人肉病
空腹感を刺激されたためか、途端に立っていられなくなってその場に座り込んでしまった。
グルグルと目が回るような空腹感。

立ち上がり、校長室まで戻る余裕も消え失せた。
自分が手に持っているものが人肉だという認識も薄れて、ただ美味しそうな食べ物に見えてくる。

ダメ。
いけない。
絶対にダメ。

もう1人の自分がどこからか話し掛けてくる。
必死に自分の行動とを止めようとしてくるけれど、無理だった。

一度口元に近づけた人肉を元に戻すことはできず、私は口の中に放り込んでいたのだ。
途端に口いっぱいに広がる美味に目を見開いた。

甘くて濃厚で、すごく歯ごたえがある。
それはひどく上質な肉だった。
生のまま長時間ポケットに入れていたものだなんて思えないくらいに美味しい。

「美味しい……」
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