人肉病
☆☆☆

校長室に女子生徒の死体がある。
それは普段では考えられない異様な光景だった。


「薫のことを考えずに自分ばかり食事をしてごめん」

「そんな……」


私は左右に首を振る。
そんなこと、圭太が悪いわけじゃない。
圭太だってちゃんと食事をしなければ死んでしまうんだから。


「俺は外にいるから、終わったら呼んでくれ」


圭太はそう言い残して校長室を出ていった。
圭太の後ろ姿を見送り、床に横になっている死体へ視線を向ける。
また、ゴクリと喉が鳴った。

同時に昨日少しだけ食べた肉片の味を思い出してお腹が鳴る。
もう水だけでは到底我慢できそうにない。
それにこの死体は圭太が危険を犯してまで持ってきてくれたものなんだ。

私は死体の横に両膝をついた。
彼女からはずっといい香りが漂ってきている。
傷口から溢れ出している血はフルーティーと言ってもいいほどだ。

そっと首筋に顔を近づけて、舌を出して血を舐め取ってみた。
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