人肉病
☆☆☆

街中を少し歩くだけで血なまぐさい匂いが鼻孔を刺激する。
普段は車や人々が行き交っている道路のあちこちには死体が転がり、そのまま放置されていた。


「ひどいな……」


圭太がその光景に顔をしかめて言葉を失う。
私でも想像していなかった光景だった。


「学校内の方がマシだったのかも」


歩きながらついそんなふうに呟いてしまう。
学校内でもあちこちに死体が転がっていたけれど、それでも大半は自衛隊員たちによって運び出されていた。
街中ではそれすら行われていなかったか、処理が追いついていなかったのだろう。

倒れている人々の顔をしっかり見るつもりなんてなかったのだけれど、ふと見知った制服を見つけて足を止めていた。
あれは同じ学校の制服だ。
血を流して倒れているその人物は私と同じ紺色のスカートをはいている。

スカートの下には紺色のラインが2本入っているため、特徴的だ。
うつ伏せに倒れてその顔は見えないけれど、なんとなく嫌な予感がして近づいていく。
するとスカートから伸びた足に赤い斑点があることに気がついた。
感染者だ!
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