人肉病
☆☆☆

新種のウイルスについて報道しているのはニュース番組だけだった。
新聞でもネットでも、なにも情報は出てこなかった。
けれど一歩外へ出るとあちこちに自衛隊の姿を見つけて、つい足早になってしまう。


「ユカリ!」



早く学校へ向かおうとしていたとき後方から声をかけられて立ち止った。


「圭太。どうしたの?」


圭太の家は逆方向だ。
私は驚いて目を丸くする。


「いや、なんか心配で迎えに来た」

「わざわざ?」

「だってさ、自衛隊の数昨日より増えてないか?」


そう言われればそうかもしれない。
昨日まではまだ装備もしていなかった自衛隊員たちが、今日は頑丈そうなマスクをつけて銃を装備している。
だから余計に物々しく感じられていたんだ。


「圭太は朝のニュース見た?」
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