人肉病
建物の形状は円形でよく似ているのだけれど、色合いが赤茶色をしている。
パンフレットの写真で見た建物は、確かクリーム色をしていたはずだ。
それに周りは山ではなく、草原だった気がする。
最も、背景は印刷するときに加工したものだったのかもしれないけれど。


「ここってお父さんの職場? なんか、違う建物な気もするんだけど」

「研究施設はあちこちにある。ここだけじゃない」


ようやく返事をしてくれた父親にホッと胸をなでおろす。
どうやら単純に怒っているというわけではなさそうだ。
父親は施設のドアの前に車を横付けにして停車した。


「降りろ」


促されて助手席から降り、そのまま父親の後をついて入り口へ向かう。
そこは数字を入力するキーになっていて、父親は素早く6桁の数字を打ち込んだ。
ピッと数字を認識する機械音が聞こえてきて、ドアが開く。


「中に入ってもいいの?」


父親の研究ではウイルスを扱っているため、安易に一般人が立ち入ることはできないはずだ。
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