人肉病
ほとんど待つことなく相手が電話に出たのがわかった。


『圭太、お前今なにしてるんだ!? どこにいる!? どうしてスマホの電源が切れているんだ!』


矢継ぎ早に怒鳴るような質問は、スピーカーにはしていないのに私まで聞こえてきた。
圭太は一旦スマホを耳から離して顔をしかめ、それから落ち着いた口調で説明しはじめた。


「スマホの充電が切れてて連絡が取れなかったんだ、ごめん。今は学校の近くの民家に非難してる」


ゆっくりとした口調で説明する圭太に、電話の向こうにいる父親も安心したようで、怒鳴り声は聞こえなくなった。


「民家の場所は……」


圭太がこの場所の詳細を説明しながら直へ視線を向ける。
直は圭太の父親にここへ越させようとしているみたいだ。


「わかった。待ってる」


通話を終えて電話を切り、息を吐き出す圭太。
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