人肉病
両手で顔を覆って、足置きれずに泣き出してしまった。


「麻子のせいじゃないよ。大丈夫だから」


麻子の隣に座り込み、その背中を撫でる。
撫でながらも自分の手が小刻みに震えている事に気がついていた。
まさか自分の友人がこんなことになるなんて考えたこともなかった。

教室内に入ってきたのがガスマスク姿の自衛隊員だったということも、ショックを加速する原因になっていた。
どうして自衛隊員が来たんだろう……?
そう思っても、当人たちはすでにいないのだから聞くこともできない。


「おい、グラウンドを見て見ろよ!」


不意にクラスの井上直の声が響いて顔を上げた。
直は窓の外を指差している。
みんながそれに釣られるようにして窓辺へと近づいていった。


「なんだあれ?」

「授業の一環じゃないの?」

「そんなの聞いていないよ?」
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