人肉病
そして麻子が持ってきたゼリー飲料を食べた後に倒れたのだ。


「味覚はおかしくなるが、強い食欲が出る。水以外の物を口にすると……アナフラシキーショックを起こす」


圭太が読み上げて行く記事にめまいを起こしそうになる。
どうにか壁に手をついて体のバランスを保つけれど、呼吸が乱れてしまって苦しい。


「アナフラシキーショックって、じゃあ、ユカリはやっぱり……」

「アレルギー反応が出てたのかも知れないな。だけど、これじゃ水しか飲めないってことだろ?」


水以外の飲食物すべてがダメだなんて、今まで聞いたことのない病気だ。
栄養バランスが崩れることは必須だろうし、これから先ユカリがどうなってしまうのか検討もつかない状況であることがわかった。
もっと記事を読み進めようとしたところで、スマホの充電が切れてしまった。


「くそ。昨日充電し忘れたからだ」


軽く舌打ちをしてスマホをズボンのポケットにしまう。
けれど、ネット記事は今読み上げたくらいが最後だったはずだから、それほど気にしなくていいと思う。

私は自分のスマホ画面をもう1度確認した。
両親からのメッセージがまた増えている。
そのどれもが私の身を気にする内容で、胸が熱くなるのを感じた。
< 37 / 245 >

この作品をシェア

pagetop