人肉病
☆☆☆

それから圭太は1つだけおにぎりを食べて行動を再開していた。
ずっと同じ場所にいてはいつ感染者に襲われるかわからないから、できるだけ学校な有為を動き回っていた方がいいと判断したのだ。

もし感染者と鉢合わせしても、2人いるから別々に逃げることも相談して決めた。
逃げた先で襲われたとしても、私は感染しているから食料にされることはないからと。
それじゃあ圭太はどうするの?

感染していない圭太が感染者に捕まってしまったら、そのまま食べられてしまうんじゃないの?
そんな不安を伝えると、圭太は薄く微笑んで黙り込んでしまった。
圭太は自分を犠牲にして私を助けるつもりでいるのだ。
その優しさに胸が熱くなり、同時に自分だけ感染してしまったことがひどく申し訳なくなる。


「大丈夫。悪いのはウイルスなんだから」


圭太はそう言って私の手を握りしめてくれた。


「なにか、武器になるものを持っていた方がいいな」

「そうだね」


探しにきたのは体育館だった。
< 88 / 245 >

この作品をシェア

pagetop