人肉病
汗でベッタリと張り付いたシャツが面倒なのか、そのまま一気に脱いでしまった。
その瞬間、思わず声を上げてしまいそうになって両手で口を塞いだ。
男子生徒の体にはびっしりと赤い斑点が出現していたのだ。


「この人たちも感染してる!」


小さな声で圭太に言うと、圭太は青ざめた顔で頷いた。
この場所に非感染者が入っていけば、食料にされることは間違いない。
つまり、圭太は入っていくことができないということだ。


「仕方ない。別の武器を探そう」


体育館倉庫ならバッドがあると思って来たけれど、他の場所にもなにかがあるはずだ。
圭太はそう思ったんだろう。
でも、どこでなにを探すのか具体的なことが決まっている方がいいに決まっている。
闇雲に探しものをしたって、簡単には見つけることができないから。


「でも、私なら取りに行くことができる」

「薫?」


圭太の顔に心配の色が差す。
けれど私はそれに気が付かないふりをして扉の前に立った。
わざと腕まくりをして赤い斑点が見えるようにする。


「おい、やめろよ」
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