私の担当医。~2~

次の日もまた次の日も
海斗は口を開けば「産科を受診しろ」
ばっかりでうんざりしていた。

仕事もいつも通り出勤した。

妊娠がわかって3日
透析の日になった

「すず、透析の前に産科にいこう。
ちょっと産科の先生と相談ある。
別に赤ちゃんみたくないなら検診は受けなくていい。ただ担当医として聞きたいことがある、ついてこい。」

そう言われて
海斗と院内の産科に向かった。

他の患者さんと同じように
待合室で座って待った

海斗は1番手前の診察室に入って行った。

周りを見渡すと大きいお腹のママさんや
まだ見た目ではわからないけど妊娠中のキーホルダーをつけてるママさんが座っていた

私のお腹にも赤ちゃんがいるんだな。

でも全く実感がわかない。
お腹も出てないしよく言われるつわりの症状も今のところない。

本当に妊娠してるのか不思議だった。

すぐに海斗がでてきた

「30分くらい待つって。
売店行ってなんか食うか?」

「うん」

海斗と2人で座って待ってる時間が
気まずくなる気がして
売店にむかった。


「妊娠したらさぁもうお寿司食べれないんだよね...」

私の大好きなお寿司
海斗によく連れて行ってもらったお寿司

久々に食べたいなぁ...

「自分で聞いてみれば?」

「本当に海斗はわからないの?
お医者さんなのに?」

「医者として言うならお寿司はやめた方がいいな。ただ専門の先生に聞いてみ。案外、違う答え返ってきたりするかもしれないし」


売店につき
パンや野菜ジュースを買って近くの椅子に座った。

「すずのお母さんにも報告行かないとな」

「...うん
海斗のお父さん、お母さんにも言わないと」

「俺のところはすずが親になる覚悟ができてからでいい。どうしても覚悟が持てないから残念だけど今回は諦めてもいいと思っている。すずの身体のほうが俺は大事だ。」

「え...」

海斗の口から信じられない言葉が出てきた。
今回は諦める?
赤ちゃんを?
そんなの嫌だ

「今のすずの身体で妊娠となるとだいぶ頑張らないといけない。」

「なにを?」

「それは産科の先生と話してからになる」

はぐらかされて
ちゃんと答えてくれなかった。

私が何を頑張るんだろう


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