私の担当医。~2~
部屋に戻ってソファに座ると海斗が水を持ってきてくれた。
「とりあえず飲んで落ち着いて。」
「...うん」
「今1番何が怖い?」
「わからない。何が怖いかもわからないけど震えが止まらない」
「そっか...」
「ちょっと赤ちゃんの話してもいい?
すずの病気はとりあえずおいといて。
赤ちゃんの話。聞ける?」
「...うん」
「今、13週くらいだと思う。赤ちゃん諦めるなら22週なる前までに決めないといけない。それとなるべく早めがいい。すずが頑張りたいって気持ちもすんごい伝わるし悩んでるのもわかる。どうしようか。すずはどうしたい?」
「産むためには何を頑張らないといけないの。」
「まず透析は毎日になる。
それと普通の妊婦さんより赤ちゃんが繊細だからなるべく外には出れないし安静が条件になる。体重管理もしっかりしないといけない。」
「...私にはできない...よね」
「そうだなぁ。難しいんじゃないかな」
「...」
はっきり言われてしまった。
「もちろんできないことはない絶対に。
ただちょっと出会った時のすずに戻りかけてる。病院入るのにあんだけ震えたり俺の顔、全くみない。」
「...」
「寂しいなぁ...」
確かに目は合わせられない
医者の海斗が怖い
「...仕事は?」
私の生きがい
大好きな仕事
「え?」
「毎日透析するってなったら仕事は行けないんだよね。」
「行きたいの?」
もちろん、、、
「行きたい」
「今回、赤ちゃん諦めるならいつも通りいけるんだけどなぁ」
「諦めないってなったら?」
「まだそこまでは俺も考えられない。
行かせてあげたいけどまだ毎日透析できるすずが想像できないしこれからの体調もわからない。」
「...そうだよね」
「決めるのはすずだから。
じっくり考えて決めて。ただそんなに時間はないからね」
何その矛盾
海斗は私の頭を撫でて寝室に行った。
今日は最後まで顔を見れなかった。